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質疑応答掲示板
20075272:仮定法過去のwould 神崎アリア 2020/07/13 (Mon) 03:20:33
 仮定法過去におけるwouldの使い方がいまいちわからないので例文を出して教えてもらえないでしょうか?
20075322:Re: 仮定法過去のwould round Home 2020/07/13 (Mon) 08:46:30
 それがご質問となるということは、拙著「英語総合技能訓練法」第3巻「文法」をまだお持ちでないと思われますので、そこから一部抜粋します。仮定法や条件法の全体像については、上記拙著をご参照いただければ幸いです:


 「if」によって導かれる条件節内において用いられるものを特に「仮定法」と呼ぶことにします。すでに述べましたとおり、一般の英文法解説書では、「仮定法」という用語が「subjunctive mood」の訳語に用いられていますが、本書では区別される点に注意してください。「仮定法」という名称からは直感的に「もしも~ならば」という「仮定を行うときの動詞の形」という意味を感じるため、名称と実体を素直に結びつけてしまった方が理解が容易と感じます。

要するに本書における「仮定法」とは、「話者の意識が現実を離れて想像・空想の世界にこれから入ることを示す、思考のチャンネルの切り替えを明確にするため」のものです。

最初に仮定法の概要について理解しましょう。
まずは次の3つの例を見てください:

1, If it rains tomorrow, I will stay home.
(もし明日雤が降ったら、私は家にいる)
2, If I had enough money, I would buy that.
(もし十分なお金があれば、それを買うところなのだが)
3, If you had studied harder, you might have passed the exam.
(もしもっと熱心に勉強していたら、君は試験に合格していたかも知れない)

上記はいずれも「f if」で始まる条件節が「もしも、、、だったら」と何らかの条件を設定しており、それを受けて後半の帰結節が「その条件の下であればこうである」という結論を述べています。
このような「条件節+帰結節」の組み合わせになっている文を「条件文」を言いますが、条件節で設定されている「仮定」の現実性の高さによって「First Conditional」、「Second Conditional」、「Third Conditional」と区別されます。これらの用語に決まった訳語はないのですが、そのまま「条件文第1形式」、「条件文第2形式」、「条件文第3形式」とでも呼べばよいでしょう。

この条件文の中で「条件節」に用いられるのが(本書における)「仮定法」です。「もしも、、」と何かの仮定を行う場合、それは「事実の描写」をしているわけではなく、想像上の仮定を述べています。そして、話者の気持ちとしてその仮定内容について「どれくらいの現实味があるか」などによって「仮定法現在」、「仮定法過去」、「仮定法過去完了」という3種類の形式が用いられます。

ここで注意していただきたいのは、仮定法の3つの名称に含まれる「 現在、過去、過去完了」は「時制」を指すものではなく、あくまでも「動詞の形式」に対する呼び名だということです。すでに述べましたとおり「 時制」とは「叙実法(=直説法)」においてのみ現れるものですから、「想像で物を言う」とき、現実の時制は無関係です。

仮定法における「現在、過去、過去完了」というのは、「叙実法(=直説法)ならば、現在時制や過去時制、あるいは過去時制完了相に用いられる述語動詞と『同じ形』が使われる」というだけの「見かけの違い」を名称にしたものであり、時制的な差を表すものではありません。

では、仮定法の「現在、過去、過去完了」は、それらの形式によってどのような違いを伝えているの
でしょうか。それは話者が仮定内容の現实性について、どれほどの可能性を感じているかの違いによります。(なおここでは「if 節」のみに着目してください。帰結節内の述語動詞についてはあとに続く「条件法」で解説します。)

First Conditional (条件文第1 形式)

1, If it rains tomorrow, I will stay home.
(もし明日雨が降ったら、私は家にいる)

「rains」は通常の現在時制単純相(simple present)とまったく同形ですが、「現在の事実の描写」を行っているのではなく、「そういうことが实際に起きても何の不思議はないが」という实現性の高さが、このような動詞の形となって現れたものです。さらに詳細についてはこのあと個別の項目の中で解説しますが、実を言いますと、この「実現性の高い仮定」は、古い英語で主語に関係なく動詞の原形によって表現されました。現代英語の中でも一部表現に残ってはいるのですが、その多くは「現在形」に取って代わられました。

このように「実現性の十分高い仮定」を現在形(古くは原形)で表現することを「仮定法現在」といいます。上記例文の「rains」については「直説法現在」とみなしつつ、その用法の中に「未来についての想像」という用法があるとみなす考え方と、「形は直説法現在と同形だが、本来(古い英語で)は原形であったものが、現在形で代用されている」とみなす考え方があり、どちらの考え方をしても問題ありません。ポイントは「事実を描写しているのではなく、言葉の上だけで想像内容を述べている」ということさえ理解していればよいのです。
なお通常、「if 節」内であっても、現在形が用いられている場合、それを指して「仮定法現在」とは呼ばず、「仮定法現在」は古い英語に見られた「(主語に関係なく)原形動詞」が述語動詞に用いられる場合のみを指しますが、本書ではそれも仮定法の中で解説することにします。(由来は「仮定法現在」
の代用なのですから)

Second Conditional (条件文第2 形式)

2, If I had enough money, I would buy that.
(もし十分なお金があれば、それを買うところなのだが)

この「had」は形の上では過去形(と同形)ですが、時制的な過去を表しているのではなく、「現在の事実に
反する仮定」を表しており「実際は十分なお金を現在持っていない」という現実を踏まえ、その現在の事実に反して「もし持っていたなら」と仮定するのが「仮定法過去」です。動詞の語形は過去形でも、言及している現実の時間は現在についてだという点に注意してください。
このように「現在の事実に反する仮定+その条件を受けた現在についての予想」を述べる形式を「Second Conditional (条件文第 2 形式)」といいます。

Third Conditional (条件文第3 形式)

3, If you had studied harder, you might have passed the exam.
(もしもっと熱心に勉強していたら、君は試験に合格していたかも知れない)

第3形式では「had studied」という過去完了の形が用いられています。第2形式の「if 節」が「現在の事実に反する仮定」であったのに対して、第3形式の述語動詞は「過去の事実に反する仮定」を表します。すなわち「実際にはあまり熱心に勉強しなかった」という現实を踏まえ、その逆として「もしもっと熱心に勉強していたらならば」と仮定しているわけです。

上記3つの形式が「 条件文(仮定法+条件法)」の典型ですが、もちろん、この3種類だけですべての条件表現を網羅できるわけではありません。あくまでも理解の基礎として踏まえるようにしてください。

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条件法

これまでにすでに「First Conditional, Second Conditional Third Conditional」さらに「Zero Conditional」という「条件文」の典型的形式についてみてきましたが、变想法の中ではまだ「仮定法」すなわち「if 節」の中に現れる变想法しか解説していません。

ここからは「帰結節」に現れる变想法として「条件法」について解説します。
本書における「条件法」という用語は「条件節の仮定法によって設定された条件がついている」ことが動詞の形に現れたものです。なお条件節の省かれた帰結節単独の場合や主語が条件を表している場合も含みます。

条件文では常に「条件節」と「帰結節」の2つの節がペアになって用いられますが、前後関係から「何を条件としているのか」が明確な場合、「if 節」を省いた「帰結節のみ」の文章も用いられます。
あるいは条件節以外の何らかの情報が意味的な条件を表していることもあります。詳細はこの後尐しずつ
解説しますので、今は概略として理解してください。
それではこれまでに見てきた「条件文」を復習しつつ、今度は「帰結節」の方に着目して条件法を理解す
ることにしましょう。

(First Conditional)
1, If it rains tomorrow, I will stay home.
(もし明日雤が降ったら、私は家にいる)

(Second Conditional)
2, If I had enough money, I would buy that.
(もし十分なお金があれば、それを買うところなのだが)

(Third Conditional)
3, If you had studied harder, you might have passed the exam.
(もしもっと熱心に勉強していたら、君は試験に合格していたかも知れない)

(Zero Conditional)
If you heat ice, it melts.
(熱を加えると氷は溶ける)

条件文というのは「If 節」が先行することが多いのですが、「条件節」というのは副詞節、つまり「従属節」です。「主節」は「帰結節」の方だということは「条件節」だけでは文になれないのに対して「帰結節」だけでも文として完成しているということからも分かります。

もっとも基本的な語順としては、実は「帰結節+条件節」の順序であり、たとえば上記1の「First Conditional」の文ならば

I will stay home if it rains tomorrow.

が基本語順です。その「if 節(副詞節)」を文頭に引っ張り出して語順を変えると、「if 節」のあとにコンマを打つことになります。「if 節」が後回しになっている本来の語順では、主節と従属節の間にコンマを打つ必要は原則的にありません。

本来は「主節」である「帰結節」が先行するのが基本語順なのですが、多くの場合、「条件」を先に示した方が、「その条件のもとであれば」という帰結節の内容にスムーズに入っていけますので、「if 節」が先行する形式が頻繁に用いられているわけです。このあたり、实際に英文を書いたり話したりするときは「条件節」と「帰結節」のどちらを先に示すべきかを臨機忚変に判断してください。

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条件法過去 (Second Conditional)

2, If I had enough money, I would buy that.
(もし十分なお金があれば、それを買うところなのだが)

「Second Conditional」は、条件節が「過去形の動詞」によって、その条件が成立する可能性が低い(あ
るいはまったくない)と話者が感じていることを示しており、そういう「实現可能性の低い条件がもし成立した場合に限って」という気持ちが帰結節の「would」に現れています。(could が使われることもあります)
ただし「条件節」と「帰結節」の述語動詞は卖純に機械的連動をしているわけではなく、あくまでも個別に話者の心理を表しています。

This baggage is too heavy for me to carry.
But my father would be able to carry this alone.
(この荷物は私には重すぎて運べない。でも父なら一人で運べることだろう)

どこにも「if 節」はありませんが、「my father」という主語それ自体が「もし父であれば」という意味的な「if」を含んでいるので、その条件を受けて「would」が使われています。
主語が条件を表している用例は日常的にも非常によく現れます。例えば、ある人が商店の店先である商品を手に取って買おうか買うまいか迷っていたとしましょう。すると、隣にいた別の実が「I would buy that.」と言ったとします。
それを聞いて「あ、この人が買うのか。じゃあ私はいらないや」と思う必要はありません。なぜならその人は別に「私が買う」と言っているわけではないからです。

そのような場面での「I I would buy that.」は「私なら買いますけどね」の意味。つまり「もしも私があなたの立場であったなら(If I were you)」という条件節を省いた形の文なのです。もちろん「if 節」を省かずに
If I were you, I would buy that.
と言ってもよいのですが、この条件節は、場面、状況から省略しても差し支えないと判断されることが多くあります。

条件法過去は、どんな条件の下であるかを「言外」に含みとして持たせる使い方も多くあります。高校英語を学んだ方であれば、

I want to do it.
I would like to do it.

のような文で「want」よりも「would like」の方が丁寧な言い方だと習ったと思いますが、それはなぜでしょう?それは「want」が变实法(直説法)現在であり、「無条件」に自分の気持ちを述べているのに対して、「would like」は条件法過去として「もし差し支えなければ」という「言外の if 」を含みとしているため、叙実法のストレートで聞き手の都合を一切考慮しない、話者の気持ちだけをぶつける言い方に比べて、「聞き手の気持ちや都合などを最優先し、もしあなたがそれでよいと言ってくれるのなら」という条件がついているという話者の感じ方が「would」に感じ取られるため、大変遠慮勝ちで丁寧な言葉の響きを生んでいるのです。
人に何かをして欲しいと依頼する表現でも

Do it.

は無条件な命令であり、もっともぶしつけに響きます。これでもたった一言 please を添えて

Please do it.
Do it, please.

とすると、もうこれだけで大統領に向かって発言しても失礼にならないほどの丁寧さが備わります。特に初学者の人は、複雑な形式の英文を用いるよりも、please+命令文だけでどんな場面でもカバーできますので、まずはこれに習熟しましょう。

Will you do it?

「Do it.」という一方的な命令に比べると「疑問文」で相手に伺いを立てているだけ、丁寧さがあるともいえますが、肯定疑問であるため、「相手から Yes の返事を期待している」という前提も感じられます。つまり「それをしれくれるよね?」という結構押し付けがましい響きに聞こえることもあるのです。

Won't you do it?

それが「won't」という否定形の疑問文になると、肯定疑問のときに感じた押し付けがましさが消えて、ぐっと丁寧さの度合いが増します。
しかし「Will you...?」も「Won't you...?」も、いずれも叙実法(直説法)ですから、特別な「含み」はありません。響きは至ってストレートです。

Would you do it?

これが条件法過去の「would」によって表現されると、場面によっては不要なまでに丁寧すぎて聞こえるくらいに丁寧な表現になります。なぜそこまで極度に丁寧さが加わるのかというと、「仮定法過去」による「実現可能性の低い」条件がついていると聞こえるためです。
あえて、言葉に出してその「可能性の低い条件」を述べてみますと「このような無理なお願いをしても聞き入れてもらえるとは期待しておりませんが、それでも、もしこのお願いを聞いていただけるのであれば」というくらいのニュアンスが「言外」の「可能性の低い条件」なのです。相手の都合を最優先し、相手がNOという返事をする可能性が十分にあると話者は覚悟していると伝えているのですから、非常に遠慮深い言い回しですよね。
もっと軽い日本語で言えば「もしよろしければ」が添えられているようなものだと考えてもよいでしょう。

Could you do it?

「would」が「could」になりますと、さらに丁寧さが増します。これは「could」が持つ「可能性」の意味がにじみ出てくるためであり、「もし差し支えなければそれをしていだくことができるでしょうか」というような、遠慮の強い表現だと言えます。

それぞれの文法的背景が、現实の会話の中でそこまで強烈に意識されるわけではありませんが、それでも言葉の響き、ニュアンスとして、そのような「条件法」ならではの丁寧さが感じ取れるものなのです。ビジネス現場など、上下関係に神経を使うシーンではこのような丁寧な表現も適切に駆使する必要が出てきますが、通常の生活の中で、友人や身内などと会話する限りでは、「Will you open the window, please?」のような形式で失礼に聞こえることはまったくありません。

丁寧な表現ということについていえば、次のようなこれ以上ないほど丁寧な依頼の仕方もあります。

Would you mind opening the window?
(恐れ入りますが、窓を開けてはいただけませんでしょうか?)
Would you mind my opening the window?
(申し訳ありませんが、私が窓を開けても差し支えありませんでしょうか?)

条件法過去で「実現可能性の低い条件」を含みにした would が使われており、さらに「mind(~するこ
とを気にする、嫌だと思う)+doing(動名詞)」によって「もしこのようなお願いをしたら嫌だと思いますか?」と相手の気持ちを極めて神経質に気にしているかのような言い回しです。言葉の意味や文法的背景が分かると、この言い回しがいかに丁寧な響きとなるかも納得されることでしょう。
上記のような言い回しも日常的には

Will you please open the window?
May I open the window?

で十分な丁寧さを表すことができます。
さて、条件法過去が、「条件節」を伴わない卖独の文章としても非常によく現れることをご理解いただけたかと思います。实際、注意して耳を傾けていますと、条件法過去を含む卖独文が意外なほど頻繁に用いられていることに気づきます。
20075602:Re: 仮定法過去のwould 神崎アリア 2020/07/13 (Mon) 20:06:18
回答ありがとうございます!